第35話 観月さんとの約束・・・
ダンジョンの帰り道ー二人は歩いて帰っていた。
「水篠さん・・・見間違えました。
私はなんにも変わってないのに・・・。」
寂しそうな観月さん・・・。
「いろいろありましたからね。経験から受ける影響は人それぞれです。」と返す旬。
「そうですよね・・・。
私はハンターの仕事をするには臆病すぎるみたいです・・・。克服しようとはしましたが、うまくいきません。
B級ヒーラーですから本当ならA級やB級、せめてC級レイドに参加するべきなのに、わざとD級やE級のレイドに参加してきました。そこで水篠さんと知り合って気が付けばいつも水篠さんの手当てをしていたような気がします・・・。
正直言うと最初は何度も何度も怪我をしてこられて少し面倒でした。命知らずでバカみたい・・・って思ってた時期もあります。
だけど水篠さんは・・・
必ず生き抜く人でした。
生命力みなぎるあの強い眼差しを私は一生忘れません。
これだけでもうお腹いっぱいです。
生きて戻ってくれば一緒に食事に行く約束でしたよね?
これ・・・
お返しします。」
悲しい言葉に旬は悟った・・・。
「まさか・・・。」
「私・・・引退することにしました。
実家のある大阪に帰ります。もし来ることがあれば連絡してください。案内しますね。」
旬は二重ダンジョンのときのE級の魔法石を受け取り、
「それじゃあその時にもう一度、食事にお誘いますね。」
「待ってますよ!」
手を振って別れを告げる観月さん。一人になった旬はここで覚悟を決める。
俺にもう一つ強くならなければいけない理由ができた
S級ハンター 右京 将人
強くならなければ・・・生き抜くことができない・・・。
日が変わりとあるダンジョン前にて旬が言う。
「えっと・・・諸菱くん?これって・・・なんの集まり?」
そう、以前諸菱くんと約束をした19回のレイドに行くために諸菱くんが募集したメンバーの集まりだったのだが・・・
旬は諸菱くんが説明してる最中に
集めてくるメンバーはどれも普通の人ではなかったのだ・・・。
と・・・旬は思っていた。
諸菱くんの会話がまだ続く・・・。
旬は一人の女性を見て
「子供が紛れ込んでるけど・・・。」
と諸菱くんに説明すると、
「未成年も覚醒していれば法的になんの問題もありません。」
その話にその女性が食らいつき、
「ちょっと失礼なんじゃないですか?私はれっきとしたハンターなんですけど。」
旬が答える。
「高校生だろ?レイド経験は?」
「あ・・・ありません。」
「まぁいいどうせダンジョンの外で待ってもらうだけだ。中には俺と諸菱くんが潜る。」
そう説明し、諸菱くんが集めたメンバーの攻撃隊の人に向かって、
「今日みなさんに来ていただいたのはC級ダンジョンの参加条件をクリアするためです。法律上C級ゲートには十人のハンターが必要ですからね。」
攻撃隊のメンバー達はこう思っていた。
たった二人でC級ダンジョンに潜るだって?そんな強い人たちなのか?
中には質問する人もいた。
「あの・・・本当に外で待ってるだけで30万ももらえるんですか?」
諸菱くんが答える。
「もちろんです。報酬はレイド一回につき30万!戦わずにもらえるなんておいしいでしょ?みなさんは僕たちが戻るまでここで待機していてください。ちなみにこの依頼内容は郊外禁止です。漏洩が発覚した場合は契約書内容通り報酬金額の十倍を支払っていただきます。」
説明をし終えたのか旬は諸菱くんに向かって
装備について言う・・・。
防具フルセットでガッチガチに固める諸菱くんであった。
しかし、旬が諸菱くんをつっつくと諸菱くんはこけてしまい・・・
「悪いこと言わないから早く脱いで来い。」
起き上がれなかった諸菱くんは涙目だった・・・。
亀がひっくり返されたように動けなかった諸菱くんを起こし、鎧を脱ぐ諸菱くん。
それでも頭だけはつけたままだった・・・。
それでも頭は外さず、あきれた旬だった・・・。
そんなやり取りをしつつも、二人はそのままダンジョンへ入っていった。
この二人の内容を見たメンバー達は一堂に
「あの二人大丈夫なのか?」
と不安になるばかりだった・・・。
「E級ハンター 水篠 旬 俺あの人知ってます。史上最弱兵器って呼ばれてる人ですよ。」
「史上最弱?」
「隊長はD級だろ?」
攻撃隊のメンバーが不安やらなんやらで会話をしていたのであった・・・。
ー時間が少し経ち
慌ててでてくる諸菱くんがダンジョンから出てきたのだった・・・。
それを見た攻撃隊のメンバー達。
煽る連中もいたが、一人のメンバーがゲートを見ると・・・
「ち・・・違う!!逃げてきたんじゃない!!あれを見ろ!!」
その一言に一同はゲートを見ると・・・
「ゲートが閉じ始めた!嘘だろ!?ボ・・・ボスを倒せたのか!?」
びっくりした攻撃隊のメンバー達だったが、旬と諸菱くんは次の予定のことを話す。
そしてそのまま攻撃隊のメンバーに向かって
「みなさん、移動しますよー。今日は三か所回ります。」
メンバー達は言葉が出なかった・・・。
再び諸菱くんが
「一日に90万稼ぐチャンスですよ?行かないんですか?」
とメンバー達に説明すると、
「も・・・もちろん行きますけど・・・。」
(二人でC級ダンジョンを攻略し、レイドをはしごするだとぉ!?)
(こいつら一体何者なんだよ!?)
と思っていた。
ー白虎ギルドにて
「ちょ・・・ちょっとこれ見て下さい課長!」
ダンジョンを独断していただめ、ギルド内ではその話題がでてきた・・・。
「隊長は・・・諸菱 賢太?はじめて聞く名前だな・・・・。」
「諸菱建設会長の次男だそうです。会社の金でゲートを買い込んでいるんでしょう。」
「だけどこれじゃ赤字にしかならないだろ。ボンボンのおふざけにしては度が過ぎてる・・・。
!
おい吉田(よしだ)ふた月ほど前に発生した二重ダンジョン事件の生存者の名前覚えてるか?」
「えっと・・・なんだっけな・・・」
「水篠 旬・・・?」
「あーたしかそんな名前でしたね。」
課長と吉田という男が話していた。
そして課長が考えていた。
におう・・・これはにおうぞ・・・。
何か察したのか
「全員注目!!D級ハンター諸菱 賢太、E級ハンター水篠 旬。今言った二人のことを調べ上げてくれ!
今すぐにだ!!」
感想
やっぱり観月さんと旬の二人の関係が気になる!!
とうとう引退を決意した観月さんだったが、大阪に行くときにデートの約束をする旬。
この二人・・・ゴールインしてほしい!!
そう思いましたw
そしてもう一つの話。今回は以前諸菱くんがギルドを立ち上げるために残り19回のレイドにいくことになったのだが、何やら白虎ギルドの課長が察したようで・・・。
次の話も気になるばかりですが、今日はあいにく夜勤のため、明日必ず更新します!
そして今日はメイン6勤務のあとにそのまま副業をぶっこみ、帰宅直後にそのまま寝てました・・・(´・ω・`)
更新が遅くなり、朝します!といったけどできず申し訳ございません。