第34話 ダンジョン外での出来事ー犬飼課長の助言ー
「ハンターとは幾度となく死を見届け、生存を勝ち取る生き物だ・・・。
生死の境目にいるが故モンスターだけでなく人間と対立することもある。
俺達はもはや”殺人マシン”なんだよ・・・。
あんたも同じさ・・・
死と隣り合わせのハンターに一般人と同じ常識を押し付けたって無意味なこと。
だから・・・
負けた僕が死ぬ。この法則は至極当然のことなのさ・・・。」
血だらけになった道門がしゃべりだす・・・。
「・・・・一つだけ聞こう。あんたは一体何なんだ?暗殺系が治癒魔法に・・デバフ魔法まで使えるなんて聞いたことがない・・・。」
その言葉に旬も言葉を返す。
「さぁ、俺も自分の正体が気になって仕方がない。」
出血と麻痺が発動する中道門はしゃべり続ける・・・。
もうランクを隠すことはできないという。
そして旬が質問をする。
「もし俺が戦うたびに強くなるハンターだとしたらお前は俺がどこまで強くなれると予想する?」
その言葉に道門は
「ハッ・・・あんたの影法師は・・・闇とつながってるよ・・・。
その闇の強さだけ・・・強くなれるだろう・・・・。」
そう言い残し道門は息を引き取った・・・。
〇クエスト完了
【緊急クエスト:敵を殺せ】をクリアしました。
〇クエスト報酬
報酬を選んでください
-次の中から選べます
報酬1.能力値ポイント+5
受け取りますか? はい/いいえ
そして旬は考える・・・。
たしかに前とは比べ物にならないほど強くなった・・・
だがどういうわけか・・・
強くなるにつれ俺の中にある何かが崩れ落ちていくような気がする・・・。
考え込んでる旬に対して観月さんがお礼を言う。
「水篠さん・・・ありがとうございました。」
続いて馬淵さんも
「水篠くん、おかげで助かった。道がいなかったら私たちは死んでたよ・・・。さて・・・・これを一体どうしたものか・・・。」
亡くなった人たちを心配する馬淵さん。
「外に出て協会に報告したほうがいいんじゃないですか?」
と心配する観月さんであったが、
「先にダンジョンを封鎖します。」
そう告げる旬。
「まさか・・・一人でボスを・・・・!
・・・だが君の実力はこの目で見た・・・。止はしない。
弔ってやれないことが・・・気の毒だがな・・・。」
と優しく言う馬淵さん。
死んだ道門から短剣を抜く旬。
道門の心臓から何やら光るものを見つける。
〇お知らせ
【ルーン石:隠密】を得ました
※ルーン石を割るとスキルを吸収できます。
こいつが使ってたスキルを吸収できるだと?
旬はスキルが吸収できることに驚いていたが、馬淵さんと観月さんが
「先に協会に話しておこう。」
「外で待ってます。速く出てきてくださいね。」
と言い、二人はダンジョンから出る。
「わかりました。すぐ終わると思います。」
そう告げ服役者たちの死体のところへ旬が歩き出す。
「生きているのは知ってる。立て・・・。」
そう告げ助かった・・・と安心する生き残っていた服役者だったが・・・。
向かった先は・・・・
ボス部屋だった・・・。
「危害を加えた被害者たちの顔を覚えてるか?
おまえのような道門以下のクズ・・・わざわざ連れて帰るわけないだろ。」
そう言い残し、声なき悲鳴が鳴り渡り・・・生き残った囚人はボスやゴブリン達によって死んだのだった・・・。
ほどなくしてダンジョンの主であるホブゴブリンを旬は倒す。
先にダンジョンを脱出した馬淵さんと観月さんが監視課の職員に中での出来事を説明し、事態を把握した職員が協会に連絡。
報告を受けた上の人間がすぐさまやってきた。
「ダンジョンをクリアしてからどれくらいだ?」
「40分ほど経過しました。」
「残り20分か・・・あまり時間がない。8分以内でできるところまで遺体の回収を頼む。」
監視課の職員たちがあわただしく会話する。
「生存者がダンジョンをクリアしてきたのか?」
「はい。」
そして駆け付けた監視課の犬飼は考える・・・。
道門が殺人を請け負い、罪のないハンターまで殺そうとしたという証言が事実なら・・・犠牲者の遺体を先に外に出したってよかったはずだ・・・。
意図的にダンジョンをクリアしたのか?
何か隠ぺいしたい事実がそこにあったという意味・・・。
監視課の職員と旬たちが顔を合わせると・・・。
あの時のあのハンターだよな?まるで別人だ・・・。
そう考えながらも
「お久しぶりです。」
そう旬に告げると
「あっ・・・えっと・・・監視課の・・・・」
「はい。監視課の犬飼です。うちの職員が取り返しのつかないことをしてしまったようですね・・・。謝罪は後日、真相が明らかになってからさせていただくとして今後の流れですが、調査はうちではなく捜査課で行います。」
今後の流れを説明している中、旬は監視課の犬飼を見て驚いた・・・。
B級の道門を倒したぐらいでうぬぼれてる場合じゃない・・・
あのときは知らなかったが・・・
この人強い・・・次元が違う!
A級だ!
今の俺じゃ太刀打ちできない・・・・。
再び犬飼が説明をする。
「それじゃどうして監視課の僕がここに来たのかと言いますとお聞きしたいことがあるからでして、ご協力いただけますか?」
旬が答える。
「はい、もちろんです。」
待ってましたと言わんばかりか
「それでは単刀直入にお聞きします。
B級ハンターである道門を殺したのはどなたですか?」
旬が
これ以上再覚醒したことを隠せそうにない・・・。
残念だが諸菱くんからの提案もなかったことになりそうだ・・・。
あいつが求めてるのは実力あるランクの低いハンターだから・・・
そう考えてる刹那、
「私です。
私が道門さんを殺しました。」
馬淵さんが答えたのだった・・・。
「失礼ですがランクは?」
「C級です。」
「C級のあなたがB級の道門を一体どうやって・・・・・。」
犬飼と馬淵さんのやり取りが続く・・・。
「彼女がいるではありませんか・・・。」
「・・・・・なるほど。協力がありB級に勝てたということですね。」
(だが道門は・・・うちの課も手を焼くほどの野郎だった・・・。
他のB級に比べはるかに強いあいつに片腕のないC級が勝てるだろうか・・・?)
「みなさんご同行いただけますか?調書を作成しなければなりませんので・・・。」
そして旬が馬淵さんに問う。
「馬淵さん・・・どうして嘘を・・・。」
馬淵さんが真実を語る。
「君が力を隠すのにはそれなりの理由があるのだろう?余計なことをしてしまったか?
どうせ私も最初から操作対象だ・・・受けた恩に比べればこのくらいなんてことないかもしれないが、私なりの恩返しだということにしておくれ・・・。」
「水篠ハンター。」
監視課の犬飼が旬に言う。
「E級のあなたがB級の道門を倒したなんて思っちゃいません。
再覚醒を疑うのは前回の一度だけで充分でしょうからね・・・。それでも一応お伝えしておきます。長生きしたければお気を付けください。」
どういう意味なのか旬が問いただすと・・・
「この前の右京 隼人攻撃隊全滅事件。生存者はD級ハンターとあなただけでした・・・。
右京 隼人の弟である右京 将人ハンターがあなたたちを狙っているかもしれないんです。」
「まさか・・・S級ハンターの右京 将人?」
旬が驚きながら質問をすると、
「はい・・・中で何があったかなんて関係ありません。
ことの核心はあなたがあそこから生きて帰ってきたということ・・・。
相手がS級ともなると法なんかでは制御できやしません・・・。
彼らは奇跡であると同時に災害にも似た存在ですから・・・。
くれぐれもお気を付けください・・・
怪物ですら恐れる怪物があなたを狙っているかもしれないってことです・・・。
できることなら家族を連れ日本を離れた方がいいと思いますよ。」
ー三時間後、道門の殺人請負に関する取り調べ中、殺害を依頼した男が自首し、旬たちの正当防衛が成立した。
観月さんが旬に言う。
「水篠さん・・・
これ覚えてますか?」
感想
外に出た旬たちが待っていたのはなんといってもあの犬飼課長!!
右京 隼人の事件を覚えてますか?
右京 将人が旬と諸菱くんを狙ってることを告げる犬飼課長・・・・。
かっこいい!
そして馬淵さんの恩返し・・・・かっこよすぎる・・・。
最後に道門が残した言葉もかなりのキーワードとなっております!!
今回は神回なのでどうせなら35話とつなげようかな・・・と思いましたが、34話だけにしました・・・。
明日35話をしたいところですが、明日は副業があるので次回の更新は明後日の朝方にでも・・・(´・ω・`)